セミナー1 「通信事業の変遷と今後の行方」
日経BP社 日経コミュニケーション編集長 林哲史氏
価値を生む「場」を提供
1985年に通信が自由化され、1990年にかけて多くの企業が通信事業に参入した。激しいサービス競争が繰り広げられる中、1990年代後半にはインターネットとモバイルが急速に普及。2000年ころからADSLや光回線などが登場し、定額料金制・ブロードバンド通信の利用が加速した。
これから2010年にかけては、モバイルとワイヤレスの時代だ。「3.9G」や「WiMAX」などが登場し、より高速大容量な通信が可能になる。定額料金制の導入も進むだろう。一つの電話番号を自宅では固定電話として、外出時には携帯電話として利用できる「FMC」や、住居などから発信される携帯電話の通話料金を固定電話と同程度に割り引く「FMS」など、新たなサービスの形も考えられている。
ブロードバンド網の整備が着実に進んだことで、今やネットは生活インフラとなった。ソースコードをネットに公開してソフトウエアを共同開発したり、ネット上のプログラムを組み合わせて新たなサービスを提供するなど、これまでにないネットの使い方も生まれている。魅力的なコンテンツが増え、「ネットなら何でも手に入る」という意識が広がるにつれ、ユーザーはネットに対し、「サービス」を軸に新たな価値を求めるようになっているといえよう。

こうした激しい変化の中にあって、通信事業者のあり方そのものが問われている。もはや「ビットを運ぶ」だけでは生き残れない。従来の一般電話網をIP化する次世代通信ネットワーク「NGN」に象徴される、新たなICT技術を生かしてニーズを喚起し、そこに参加すれば何らかの価値を生み出せるという「場」を提供していくことが、いま通信事業者に求められている。








